3.11みやぎホットライン 終戦の日スペシャル
「幻の水中特攻兵器『海龍』ある搭乗員の終戦」
東日本大震災で大きな被害を受けた女川町。その中心部から車で30分ほど、牡鹿半島の海岸線を南に走ったところに五部浦湾があります。この湾を囲む五つの集落も津波で壊滅的な被害を受け、今は多くの人が集落から離れて生活しています。
そしてカキやホタテなどの養殖が盛んだったこの五部浦湾は、太平洋戦争末期には日本防衛の最重要地のひとつになり、湾を臨む静かな浜では集落の住民にも知られることなく秘密裏に進められた作戦がありました。本土防衛の切り札として造られた水中特攻兵器、特殊潜航艇「海龍」の秘密基地を作り、その特攻部隊を配備する計画でした。
元々秘密の作戦であったことに加え、集落から多くの人が離れた今、女川の静かな浜で進められていたこの計画について語ることが出来る人は多くありません。また、終戦から71年が経ち、当時この作戦に関わった多くが亡くなり、その全容を知ることは難しくなっています。
そんな中私たちは、終戦間際に女川の基地に配属されたひとりの元特攻隊員、前村 通さん(88)に出会うことができました。結果として出撃することはなかった特殊潜航艇「海龍」という特攻兵器とはどのようなものだったのか、この作戦に関わった人の思いはどのようなものだったのか…当時、少年兵だった元特攻隊員の言葉で綴ります。
・ナレーション 大久保悠アナウンサー
・取材構成 石澤雅幸ディレクター