石巻市北上町 大室南部神楽取材リポート
TBCテレビ 松本真理子ディレクター取材
石巻市北上町十三浜の大室南部神楽保存会のみなさんが、神戸に招かれ大室南部神楽を神戸の湊川神社、生田神社の2か所で奉納しました。神楽を奉納してみて現地では東日本大震災を想い、その舞に涙を浮かべている人もいて感動的に受け入れられたようです。
神戸と言えば、阪神淡路大震災。全てが消失してしまった長田区の以前から親交のあった会と保存会が交流し今回お呼ばれをして実現した大室南部神楽の奉納です。
神戸市長田区の今滝さんは今回保存会を呼んで交流し、被災から20年たった神戸の「20年問題」を伝えたかったと言います。
今滝さんが現在長田区でお住まいの借り上げ復興住宅は、自治体が建物丸ごと借り上げて20年期限でお借りしていました。当時の被災者は、やっと入居できる心が落ち着く場所として入居しましたが、現在、その借入期限の20年が経過し現在立ち退かなければならない状況に置かれています。
今滝さんは「震災時は、50歳を過ぎた頃なので20年後まで走りぬけられるような気がしましたが、今となっては後悔の日々...長田地区にまた戻ろうとみんなに声掛けしたこと、街の再生に尽力してきただけあり立ち退く日が近づくにつれ、不安も募ります。」と話してくれました。
石巻も東日本大震災で大きく被災した町。大室南部神楽保存会のみなさんのなかでも同じ境遇で30年の期限をもつ借り上げ住宅に住んでいる人が多く、自分自身の住まいも今後どうなるか想像がつかないといった状況です。
思いもよらなかった現実が今、目の前に迫っている長田地区の皆さんの経験を聞き、保存会のメンバーも不安を抱えるようになりました。震災の傷跡はまだ癒えない神戸。東日本大震災で被災した石巻でも起こりうる問題です。今後も将来を見据えての行動等が必要となりそうだ、と真剣に考え始めるきっかけとなりました。
登米市 津山町若者総合体育館仮設住宅「お別れ会」
藤沢智子アナウンサー 取材リポート
震災から5年8カ月が経って、仮設住宅を離れる人が多くなりました。当初24世帯が住んでいた今、約半数の12世帯の方々が残っていますがひとつの区切りとして登米市 津山町若者総合体育館の仮設住宅で11/13にお別れ会が開催されました。
登米市の仮設住宅にお世話になっているのは、主に南三陸町の方々で最初は知らない人が多かったと、自治会長の阿部さんは5年前を振り返りました。近くにある若者総合体育館では、登米市の皆さんと移住してきた町民のみなさんで運動会やグランドゴルフ大会など交流を行い、コミュニティの場として利用し和気あいあいと暮らしていました。
この日はたくさんの方がお別れ会に参加し、その中には戸倉の復興住宅に移った方も参加していました。現在は南三陸の新居に引っ越しをした方ですが、懐かしいみんなの顔を見るために参加したそうです。また、今も住みなれた登米市の施設へ買い物へ通うこともしばしば。南三陸には大きなスーパーマーケットがないので登米市まで買い物に来ているようです。
復興が進んだ、といわれる南三陸町では今も車がないと不便な場所。買い物や病院、利便性を考えると登米市にいた方が良いのでは?と不安に思ったり迷ったりすることもあるようです。
5年間住み慣れた場所からふるさとへ帰りたい、と思う反面、登米市での便利な生活を維持したいとも思うようになる人がいらっしゃいます。また、若い人たちが南三陸町から離れてしまい子ども達の声も聞こえない状況にも、淋しさを感じるようです。