石巻市 いしのまき元気いちば 米澤耕也さん
古野真也アナウンサー 取材リポート
地元を盛り上げる職に就きたくて、石巻市に帰ってきた米澤さん(33)は、現在「いしのまき元気いちば」で支配人をされています。関東を中心に仕事をしていた米澤さんは、去年6月にオープンした「いしのまき元気いちば」にあわせる形で地元に戻ってきました。元気いちばは、学校の体育館ほどの大きさの商業施設で、旧北上川沿いにあり、1階は石巻の野菜や鮮魚の販売、2階は元気食堂というフードコートになっています。
石巻産の水産加工品や野菜は、およそ200社が震災で被害にあい、販路確保、商品発信のためにこの市場ができました。また、周辺に住んでいる3000人から4000人の主に高齢者の方々だということで地元の人たちの日常の生活の買い物場所としても役立っています。一人暮らし世帯の皆さんにはとても新鮮なものを手に取って購入できる、気軽に立ち寄れるスーパーとしても愛されています。また、この場所は、石巻のランドマーク「石ノ森萬画館」のそばにありますので、観光客の皆さん(年間40万人)の観光拠点としても利用されていて交流の場としての役割を担っています。
支配人の米澤さんは「リスクを恐れずチャレンジする」を実行していて、試行錯誤の中、イベントやフェスなども行いマーケティングしながらの営業と話してくれました。石巻にとってこの情報発信こそが、新情報の発信、石巻ブランドの確立、根幹となるようになってほしいと願っています。夢は大きく海外ブランドとして定着するようにしたいということです。
亘理町 NPO法人セリアの会 セリア・ダンケルマンさん
伊藤晋平アナウンサー 取材リポート
亘理町で実際に使われていたプレハブ仮設住宅を展示する計画を進めているNPO法人セリアの会 セリア・ダンケルマンさんは、ユダヤ系インドネシア人の女性で、音楽家として活動する一方、震災発生後から宮城県に入り、被災した方々の心のケアなどに努めています。
被災直後の避難所生活と、復興公営住宅への入居「中間の記憶」である仮設住宅は、用事がなくなったら壊すしかない、と思われている面があり、なくなってしまってはその当時の人の心や思いが消えてしまうのではないか、と考えています。そこで、プレハブ仮設住宅を展示品として遺すことを計画したという経緯がありました。
しかし、実際にプレハブ仮設住宅を遺す作業は、行政、建設業者、場所の確保など全方位でみんなの協力が必要でした。そして先月、実行に移したときに問題も山積みであることがわかりました。思いはあっても仮設住宅を移設して展示品として残すのはまだまだ問題がありますが、実際に亘理町荒浜に移設したプレハブ仮設住宅は、震災後に生まれた小さな子どもたちはその「仮設住宅」という存在すら知らなかったこともあり、未来への遺産としての価値は大いにあることがわかりました。
震災からまもなく7年。震災、津波という怖さ、備えのためにも未来に震災の記憶を遺すことの大切さを実感し、またこの記憶を忘れさせないようにすることに使命感を感じているようです。完成は来年度中を目指しています。