石巻市北上町十三浜 マルナカ遠藤水産 遠藤 俊彦さん
伊藤 若奈ディレクター 取材リポート
十三浜北部に位置する「大指(おおざし)漁港」。様々な海藻が生育するこの港で、ワカメやコンブといった日々の食卓に並ぶ海藻の養殖に勤しむ「マルナカ遠藤水産」代表、遠藤俊彦さん47歳。父、母、妻と力を合わせ養殖、収穫、加工、販売を行っています。元々はサラリーマンと兼業で漁業に勤しんでいた遠藤さん。東日本大震災の発災を機に漁業に生きる道を定め、浜との付き合いを深めていきます。15メートルの津波が襲った大指漁港。全てを失ったこの地を見た遠藤さんは行方不明者の捜索に加えて、後世に津波の恐ろしさを伝えようと記録写真を数多く残しました。
遅々として進まない復旧。遠藤さんは地域の人達と手を携えながら、炊き出しを行ったり、手作りのお風呂で暖を取ってもらうなど、多岐に渡る地域の支援に乗り出します。復興への厳しい道のりと共に漁の道一本で生きることを選んだ遠藤さん。決意を促したのは浜を思い、復興に共に汗を流した仲間がいてくれたからと言います。犠牲になった方々と十三浜の復興に想いを寄せながら日々を歩んでいます。
まもなくワカメの養殖が始まります。そして、大学と連携し海洋調査を行いながら、震災から10年が経った海の姿を知り、より美味しいワカメやコンブの養殖を進めていきたいと話す遠藤さん。自身の船である「共得丸」を携え十三浜、大指漁港を盛り上げていきたいと決意を語ってくれました。来春には肉厚でシャキシャキした十三浜ワカメが食卓を賑わすことを期待したいと思います。
※「3.11みやぎホットライン」はtbcラジオドラマスペシャル「風の声、ひかりの歌」とプロ野球中継のため、次回は11月1日の放送です。