石巻市北上町 マルナカ遠藤水産 遠藤俊彦さん
長南昭弘ディレクター 取材リポート
海藻の名産地として有名な石巻市北上町の十三浜。親潮と黒潮が混ざり合い、様々な水産資源に恵まれる。十三浜の港の一つ、大指漁港でわかめやこんぶの養殖と販売を営む「マルナカ遠藤水産」の遠藤俊彦さん。11月半ば、わかめの新芽を海へ放つための作業の「芽付け」を始めていた。朝から家族や親族が総出で作業にかかる。
「マルナカ遠藤水産」の海藻は「仙台ロイヤルパークホテル」のメニューでも提供されている。遠藤さんの努力は十三浜のわかめの地位向上に貢献している。
大指漁港も東日本大震災の津波で大きな被害を受けた。遠藤さんも船と道具を失った。船ができたのは3,4年が経ってから。それまでは周りの船に乗せてもらった。「困ったときはお互い様」で、道具の貸し借りも行った。
優良な漁場である十三浜の環境・恵みを活かしたいと、石巻専修大学と連携を始めた。水温、塩分、酸素濃度、水の流れ方…などを数値化し、データとして蓄積していく。ともに研究を始めた石巻専修大学の太田尚志教授。遠藤さんや大指の漁師とのコミュニケーションをとり続ける中、地元の北上中学校で講演を行った。生徒たちに北上町に面している追波湾の海の環境について話をした。父親がしている仕事について理解するだけでなく、将来自分が担うときに何を目指したらよいのかを考える機会になれば、という思いだった。
「漁師」という現場の仕事と、「教授」という「学術・研究」の仕事が重なり合うことで十三浜の新たな可能性が発掘されていく。そして学んでいく子どもたちが故郷で新たな夢を育んでいく。