東北大学災害科学国際研究所所長 今村文彦教授
仙台市防災・減災アドバイザー 折腹久直さん
根本宣彦アナウンサー 電話インタビュー
北海道沖の千島海溝沿いや三陸沖の日本海溝沿いでM7以上の地震が発生した場合、そのあとにより大きな地震が起きる可能性があるとして、政府は今月16日から注意を呼び掛ける「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の運用を開始した。
2つの海溝沿いで想定される地震について、東北大学災害科学国際研究所所長の今村文彦教授に話を聞いた。東日本大震災の経験を受け、特に津波堆積物の分野で研究の成果があがってきた。400年に1回程度巨大な地震、津波が発生している。東日本大震災では、3月11日にM9の地震が起きたが、2日前にもM7クラスの地震が発生し津波注意報も出ていた。このような事例は他にもあった。1週間以内に後発地震が発生した場合には甚大な被害が想定されるため「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表することになった。
では、注意情報が発表された場合はどのように行動をするべきなのか。仙台市防災・減災アドバイザーの折腹久直さんにうかがった。1つ目は、日頃の備えの再確認、家具の転倒対策、食糧などの備蓄、ライフラインの停止への備え。2つ目は、情報を得る体制を整えておくこと。3つ目は、損壊した建物やブロック塀、崖などのリスクの高い場所に近づかないこと。また、注意情報が発表され、対象エリアの自治体は揺れを感じたり、津波警報が発表されたときは直ちに避難できる態勢をとるように呼び掛ける。避難できる態勢で寝ること、非常持ち出し品の携行が大事である。
そして、いざという時のためにどのようなことができるのか。今村教授は、後発地震について皆で話し合ってほしいと話す。東日本大震災を振り返ると、2日前の地震の際に避難の状況や取り組みの課題を話し合った組織や学校の3月11日の対応は適切であったといえる。後発地震注意情報は日頃からの備えを再確認、再点検する機会だと思ってほしい、と話す。
巨大地震がなかったとしても「空振り」ではなく、防災訓練や防災意識の向上につながる「素振り」であると捉えて備えていくことが大切だ。