「慶長三陸地震津波」
東北大学災害科学国際研究所 蝦名裕一 准教授
根本宣彦アナウンサー 取材リポート
1611年に東北地方の沿岸部を襲った「慶長奥州地震津波」について研究をしている東北大学災害科学国際研究所の蝦名裕一 准教授。仙台藩では1700人以上が津波で亡くなったと資料にも書かれている「慶長奥州地震津波」だが、これまでの研究では1933年、昭和8年に発生した「昭和三陸津波」と同規模の地震津波と定義されていた。しかし、東北地方から北海道に残る古文書を再検証したところ、三陸という狭い範囲ではなく福島県から青森県、さらにはその先まで津波が襲ったという記述があることが判明。東北大学災害科学国際研究所の文理融合の研究によって、この地震や津波が2011年に起きた東日本大震災に近い規模であったと考えられると蝦名准教授は話す。
地震研究は自然科学であるため、これまでは理系分野の方が中心に行われてきたが、地震や津波のデータが残る明治以前に先人たちが書き残した資料の中の災害像も今後の研究で活用し、歴史研究者と理系の研究者が力を合わせてより正確な過去の災害を明らかにして、将来の減災に繋げていきたいと蝦名准教授は話した。