福島県相馬市 漁師 菊地栄達さん
坂寄直希アナウンサー 電話インタビュー
8月24日に東京電力福島第一原子力発電所の敷地内でたまった処理水の海洋放出が開始となった。福島県相馬市の底引き網船の船長で30歳の菊地栄達さんに、処理水の海洋放出について話をうかがった。
福島県沖でとれた魚は「常磐もの」と呼ばれ、震災前からブランドとして高く評価されてきた。インタビューした日は、自然保護のために7月と8月に設けられている底引き網漁の禁漁期間が明けて初めての漁の日であり、処理水の海洋放出後初めての漁の日だった。値段は以前とそれほど変わらず、国内的な影響はあまりないそう。ただ、中国の輸入規制などの影響か、ナマコなどは値段が下がるなどの影響があるとのこと。菊地さんは、風評被害などによって福島県産の魚介類の買い控えが生じる恐れがあると話す。値段を下げれば買ってもらえるかもしれないが、ブランド価値の低下や処理水関連のイメージがついてしまうのではという懸念している。また、常磐もののブランド価値が下がってしまうと、漁業者のなり手不足にも影響をもたらすのではないかと話した。
東北学院大学地域総合学部政策デザイン学科 准教授 定池祐季さん
根本宣彦アナウンサー 電話インタビュー
最大震度7を観測し、44人が犠牲となった北海道胆振東部地震の発生から5年。発災から5年が経ち、被災地の現在の状況や課題について北海道厚真町の津波防災計画協議会会長で防災アドバイザーも務める東北学院大学地域総合学部政策デザイン学科准教授の定池祐季さんに話をうかがった。
現在、インフラの復旧はほぼ終わりが見えてきている段階で、厚真町の土砂災害があった地域で人が住んでいるエリアについては工事の終わりが見えている状況とのこと。厚真町では、仮設住宅に入った方などを中心に支援体制を組み、保健士と社会福祉協議会に配置された生活支援相談員が仮設住宅などを訪問して、困りごとを聞き取る活動をした。その困りごとを担当者に伝え、手厚いサポートをしていきた。最近では、再建された集会所でマルシェが開かれ、新たに主体的な住民活動がみられるようになった。コロナ禍で交流できない日々が続いていたため、再会を喜ぶ姿がみられた。
厚真町ではヒマワリが町中に咲いている。これは石巻でボランティアをしていた北海道の方が2019年に持ち帰ってきたヒマワリの種を住民皆で育てたものだ。被災地と被災地の繋がりはさらに広がり、今月22日には厚真町主催で「復興まちづくりサミット2023」が開催される。熊本地震、新潟県中越地震の被災地、岩手宮城内陸地震と東日本大震災を経験した栗原市の方々を招いて、胆振東部3町の皆さんが震度7を経験した地域、先輩について学ぶというもの。定池さんは今後も町の方々と歩みをともにして、町の復興、これからのまちづくりも一緒に見ていきたいと話す。