仙台市立広瀬中学校 教諭 今野 啓さん
増子 華子アナウンサー 取材リポート
去年夏に行われた「東京オリンピック2020」の卓球競技に審判関連業務で参加しました。卓球の国際審判員の資格を持つ今野さん。普段は理科を担当しながら卓球部での指導や各種大会の運営に携わっています。
東日本大震災が発生した2011年、中総体の卓球競技県大会を開催すべく奔走した今野さん。発災からしばらくは大会を開催する雰囲気ではありませんでしたが「子供たちにとっての復興」の旗印として大会を実施することが出来ないだろうか…疑問と教師としての責任との狭間に身を置いていた今野さん。特に県大会とあれば、津波で被災した沿岸部の子供たちも参加の対象になります。被災した練習場所そして流されてしまった道具。特に道具は係るメーカーと折衝の日々を過ごしましたが、二つ返事で支援を申し出てくれる方々にはただただ感謝の日々だったと言います。
「死」に直面した子供たちの傷ついた心を卓球に打ち込むことで癒し乗り越えることは出来るのだろうか…今野さんは子供たちに向け「つらい経験」を忘れる時間を作っていくことを決めます。
自身の経験を振り返りながら県大会の運営再開へと進み続けた今野さん。そして実施に結びつけた2011年夏の県大会は、特に津波被害の大きかった学校が練習もままならない状況から優勝をつかみ取るという、記憶に残る大会となりました。自分磨きの為に挑戦してきたより上級の審判資格を活かし今では全国大会の審判長を務めている今野さん。
その資格は「東京オリンピック2020」の舞台で見事活かされました。震災の時にいただいた支援への感謝の気持ちを胸に、これからも審判の資格を活かして子供たちへの指導に歩み続けていきたいと話して下さいました。