3.11みやぎホットライン

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2020年11月23日(月)放送

石巻市鮎川浜 
千々松商店 千々松正行さん
藤沢智子アナウンサー 取材リポート

先週に引き続き、東日本大震災で被災した千々松商店の歩み、そしてこれからを伺いました。
震災前に作っていた工芸品は、ほとんどが一瞬にして流されてしまいました。震災後、家族で材料を拾い集め、少しずつ作品作りを始めました。その中で、「ハンコ作り」がひとつの大きな仕事になります。元々ハンコ作りも学んでいた千々松さんは、震災後の多くの手続きに必要となる「ハンコ」を作り、必要としている人に届けることを決めました。こうして避難所での避難生活を続けながら、千々松さんは被災者のためのハンコ作りから仕事を再開しました。これは仮店舗での営業再開まで続けたといいます。
千々松さんの工芸品のこだわりは、マッコウクジラの歯を使うこと。マッコウクジラの歯は小さくても強度があります。また、使い込むほど味が出て、見た目も変化するそうです。ちなみに、クジラの歯にも虫歯がある場合があり、虫歯だと加工には向かないとのことでした。
鮎川の人たちにとって身近なクジラの歯ですが、おじいさんの代から続いてきたお店を無くすわけにはいかないし、自分で途切れさせてしまうのは悔しいと思ったそうです。震災を乗り越えた今、自分が頑張らなければいけないと強い思いを持たれていました。
現在は新型コロナウイルスが拡大していますが、馴染みのお客様も引き続きらっしゃっているようで、新しい店舗で楽しみながらお仕事をされているようでした。地元の方にとっても、なじみのクジラの歯の工芸品が復活したことは嬉しいのではないかと感じました。
今後はマッコウクジラの歯が安定して入手できるかは分からないので、千々松さんは自分の代でこの商売を終わらせるといいます。単純に技術は引き継ぐことはできても、自分の代で終わりにしようと思っているのは、鮎川というクジラの町で、クジラの歯を使って作るからこそ、その技術に価値があるということなのかと思います。
いつかかなえたい夢として、盃を作りたいと語ってくださいました。津波で流されながらもかろうじて残った貴重な材料から生まれる素敵な作品に、今後も注目していきたいです。

番組へのメッセージ

番組へのおたよりおよび災害時の情報は以下方法で受け付けております。

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