南三陸 民宿下道荘 菅原由輝さん
古野真也アナウンサー 取材リポート
今年37歳を迎えた菅原さんは、小さいころから実家の民宿を継ぐため調理専門学校で料理を学んだ後、秋保のホテルやお店を経て、現在民宿の経営をしています。この下道荘は、南三陸の海が一望できる高台に建っています。この高台はもとは竹藪で、土地の持ち主に何度も頭を下げて譲って貰いました。
震災前、民宿下道荘はもっと沿岸よりで、海から500mのところにあり震災の時、民宿は40m引き波でながされて1階がつぶれてしまいました。自宅も大規模半壊でした。
津波に襲われたあと、親戚の家でおばあさまをみてもらっていましたが、その送迎の帰り道に、先代である菅原さんのお父さまが泣きながら「今まで30年、なんだったのか…」と菅原さんに心のうちを明かしたそうです。
その姿を見て、被災後1週間後には家族で民宿再建を心に誓いました。その一方で民宿経営について不安や苦悩も抱えました。家族を養っていけるか、南三陸町が元のように観光でにぎわう町になるのか…しかし震災からわずか11カ月の2012年2月17日に民宿を再開し現在も工事従事者を中心にお客さまを迎え入れています。
これからも、故郷である南三陸の良さ、海の幸山の幸のおいしさをしってもらうために、地元で愛される宿にしていきたいということです。
山元町いちご農家の新たな取り組み
山元いちご農園 大槻忍さん 村田エリカさん
林朝子アナウンサー 取材リポート
山元町にある山元いちご農園では、震災後被災したいちご農家が集まってできた農業法人です。3.1haの土地に10棟余りのイチゴハウスが立ち並び、まさに今収穫時期を迎えています。
こちらのイチゴ栽培には、なんとイチゴのためのクラシックを作曲して、その曲を聴かせて成長させる栽培方法を実行しています。震災後、県外の醸造会社にイチゴワインを委託してつくっていましたが、去年12月に新たにレンガ作りの建物、イチゴのワイナリーを作ったためイチゴの栽培からワイン製造まで一貫して山元町の農園でできるようになりました。
こちらで働く大槻忍さんと村田えりかさんは震災を機にこの仕事に就きました。2人とも夢を持ってこの農園でいきいきと仕事をしています。
ワインを醸造するのは3人。その中でも1番若い村田さんは22歳。ご出身は栃木県ですが、海のある、素敵な町山元町でイチゴワイン醸造の担当をしています。1年目から醸造の担当として試行錯誤の日々が続いていますが、しっかりお客様に届くいちごワインを作って町に、会社に貢献できればと思い仕事を楽しんでいます。
ここ山元いちご農園内のカフェ「ベリーベリーラボ」では、スパークリングワインの「苺夢(べりーむ)」、「愛苺(まないちご)」「苺香(いちかおり)」が試飲できます。是非一度訪れてその味をお試しください。