亘理町 震災語り部の会ワッタリ 取材リポート
リポート:飯野雅人アナウンサー
震災を風化させないために各地で語り部が個人や団体で活動しています。亘理町でも一昨年の夏に「震災語り部の会ワッタリ」が結成されました。そのメンバーの一人、ガイドを担当する佐藤さんにお話を伺いました。
これまで延べ5000人以上の人にガイドをしてきたワッタリ。現在は13人いるガイドがフル回転で休む暇もないほど各地から申し込みがあります。中でも南海トラフ地震が心配される地域からの参加者が多いそうです。コースは亘理大橋、荒浜小学校、わたり温泉、鳥の海ふれあい市場など。それらをバスで回り各々のポイントでガイドの方が写真パネルを使って震災時の話をします。親戚、友人知人を亡くす辛い体験をした佐藤さん。ガイドを始めた当初は大いに悩んだそうですが、今では哀悼の意を込めて、子供たちにこのような悲しみを味わってほしくない、後世の教訓にという想いから語り部を続けています。
ガイドに参加した方から手紙をもらうことがある佐藤さん。映像では分からなかった部分が語り部を通して理解できた、今まで恵まれていた自分に気が付いた、といった感想が綴られていたそうです。佐藤さんの想いはガイドに参加した人たちにしっかりと伝わっています。
南三陸町戸倉 まゆ工房 彩 取材リポート
リポート:藤沢智子アナウンサー
南三陸町戸倉地区、水戸部仮設住宅の一角に居を構える「まゆ工房 彩」。ここではオリジナルのまゆ細工を販売しています。昔から南三陸町は養蚕が盛んで、まゆ細工も町を代表する伝統工芸での一つです。ここで活動する松岡由香利さんは嫁ぎ先が養蚕農家だったこともあって結婚直後からまゆ細工を学び始めました。
松岡さんは震災発生時、戸倉小学校で6年生の児童達にまゆ細工を教えている最中でした。幸い家族は無事でしたが、同じ町内で生活する松岡さんのご両親が帰らぬ人となってしましました。しばらくは何もする気が起きなかった松岡さん。そんな時、あるボランティアの人から「まゆ細工を見たい」と依頼がありました。最初はまゆ細工を作る気が起きなかった松岡さんですが、二人の娘さんが背中を押してくれました。まゆ細工の作り方を教えてほしいと言ってきたのです。こうして娘さんたちとまゆ細工を作っているうちに松岡さんはあることを思い出しました。中越地震の時に戸倉小の児童達が「復興の靴」というまゆ細工を作り、その売り上げを義援金として被災地に送っていたことを。また被災地の力になれるのでは、と「復興の靴」を作り始めたところ大好評。2012年7月に国の支援事業として工房化し、現在は被災した3人のお母さん達とまゆ細工作りに励んでいます。
常設して販売する所がなく、ほとんどが口コミによりますが、ボランティアの方達がお土産に買ってくれるそうです。伝統工芸でもあるので、今後も続けて欲しいものです。
http://mayukoubou-irodori.jimdo.com/