名取市 閖上さいかい市場 柳沼宏昌さん 取材リポート
リポート:林朝子アナウンサー
名取市閖上地区で被災した商店や事務所が集まる仮設商店街、閖上さいかい市場へ先日ラジオカー中継で行って来ました。2012年2月にオープンのこの商店街、現在31店舗が軒を連ねます。ここで青果店「柳屋」を営む柳沼宏昌さん(商店街副会長)に話を聞きました。
震災から間もなく3年、名取市でも一歩ずつ復興が進んでいます。しかし閖上地区に関しては、かさ上げ工事等のこともあり再建が宙に浮いたままです。閖上に戻りたくても戻れない人、閖上よりも現在生活しているところ(さいかい市場のある美田園地区など)の方が利便が良く移住を決めた人、様々な思いを持った人が大勢います。実際に閖上の街を走ると、貞山堀を境に景色が大きく変わってしまったと柳沼さんは言います。中でも大きな驚きは堤防です。これまで閖上の人々は海を目の前にし、その海と共に生活してきました。それが堤防で隔離されてしまっていると柳沼さんは感じています。これから閖上で生活していく人たち、特に子供たちは、海を堤防の上からしか見ることのできない生活をしなければならないかと思うと、深く考えてしまうそうです。
柳沼さんは神戸に行く機会が多いと言います。神戸でも震災から十何年経ってもまだまだな部分があります。先が見えなくてとても不安だが、とにかく今を生きて行こうと話をしてくれました。
塩釜市 たすけあい「しぶき」伊藤政江さん 取材リポート
リポート:飯野雅人アナウンサー
松島湾に浮かぶ桂島、野々島、寒風沢島、朴島の有人島と多くの無人島からなる塩釜市の浦戸諸島。この浦戸の復興のために尽力している伊藤政江さん(桂島出身)に話を伺いました。
伊藤さんは去年2月に一般社団法人たすけあい「しぶき」を立ち上げました。JR東北本線の塩釜駅近くに事務所を構え、浦戸に関する情報を提供したり、浦戸で獲れた新鮮なワカメやカキ、それらを使ったカキご飯などの販売を行っています。さらに「カキのオリーブオイル漬け」を商品化すべく奮闘中です。並行して浦戸諸島4島を回って島民の話を聞いています。震災後、浦戸からは塩釜の仮設住宅に移って生活をしている方が多く、島民は減っています。中には、知り合いが島にいなくなり、引き籠りがちになっている人もいるそうです。そういった人たちが外に出るきっかけを作るのも自身の重要な活動と言います。
島民の減少、施設の復旧、災害公営住宅の建設など浦戸諸島を取り巻く問題は数多いですが、島の復興のために伊藤さんは、これからも塩釜と桂島を往復します。