JNN三陸支局 重富裕昭記者
イースター島から南三陸町へのモアイ像寄贈について
今年の田植えシーズン 取材リポート
リポート:飯野雅人アナウンサー
県内の田植えシーズンも終盤。各地の田んぼで青々とした苗が見られる季節になりました。そんな中、津波被害を受けた田んぼについて、岩沼市と東松島市で米農家の方に話を聞きました。
岩沼市の玉浦地区で農業を営む八巻文彦さん。津波被害を乗り越え、昨年に続き今年も田植えを行いましたが、今年は寒さと風の強さで思うように作業が進まなかったようです。そんな玉浦地区の課題は、離農する人たちが多く、人手不足なことです。農地や農機具が津波の被害を受けたことよりも、家を流されてしまったことが離農の大きな原因。また、漁業関係と同じく、復興関連事業と比べると賃金が低いことも、農業の担い手が増えない要因です。
玉浦の元の姿を取り戻すためには農業を絶やしてはならない。そのために出てきたのが「農業アミューズメント」という発想です。玉浦の農業をブランド化して価値を高める。その一環として田植え体験ツアーを実施しました。小学生から60代まで幅広い世代の人たち、加えて中国の人もいれば、企業研修の一環として参加する団体、多くの人たちが集まりました。これらの人たちとの意見交換が大変勉強になったと八巻さんは言います。他地域から来た人たちに津波被害を伝えることも大事だが、その後どうやって復活したのか、こうすればいち早く復活出来るんだという姿を伝えることが大事とのことです。
10月には収穫ツアーも企画しているそうです。
一方、東松島市では状況が違います。大塩地区や宮戸島に農地を持つ木村正明さんに話を伺いました。津波被害のなかった大塩地区で米作りを続けてはいるものの、宮戸島の農地は再開の目処が立たず、今年も作付は出来ませんでした。震災前は100人以上いた農家の人たちも多くは離農。そこには島ならではの悩みがありました。田んぼで使う用水は近くを流れる鳴瀬川の上流から30kmのパイプを引きポンプで汲み上げていました。水の費用は通常の農家の5~6倍。木村さんをはじめ個人農家の人たちは行政からの支援が受けられません。費用面から考えると復帰は厳しい状況です。
それでも木村さんは米作りを続けると決心しました。それは東松島市の特産米「かぐや姫」です。この「かぐや姫」、今では木村さんが唯一の作り手です。これを絶やしたくはない。その想いから米作りを続け、慣れない営業活動も行い、販路を少しづつではありますが広げてきました。
飽きない味で噛めば噛むほど旨みが広がる美味しい米、と木村さん。先日、仙台市内のスーパーマーケットでの取り扱いが始まり嬉しいと、話をしてくれました。