第418回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成12年7月14日(金)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、西井陽子副委員長、星川滉一委員
有馬哲夫委員、原秀一委員、千田壽一委員
菅原雪枝委員、大塚正宸委員、亰けい子委員
今野俊之委員、児玉勝彦委員、和泉長衛委員
   


議事の概要

議題
・テレビ番組「週刊パパラビゾーレ 赤ちゃんあっせんその後〜産婦人科医 菊田昇の遺したもの〜」
・放送日時
5月21日(月) 午前9時54分〜11時30分

(局側)
 10代が関係するショッキングな事件が相次いで報道されている。そのいずれもが命に対する想像力の希薄さが際立つ事件である。命の大切さを上手く教えられない日本の社会や家庭を思ったとき、ある男性・宮城県石巻市の産婦人科医 菊田昇医師が思い起こされる。最も小さな命、胎児の命について叫び続け、国と闘った人である。子どもを養育する義務を放棄する親も増える中、家族や親子についても問題提起した彼を取り上げ、命とは何か親子とは何かを今、改めて考える。
 番組では昭和48年、事件当時の貴重な映像や当時の関係者の証言等をVTRで構成し、スタジオで法学者や宗教人類学者、当時事件を取材した新聞記者と共にこの事件が現在に何をもたらし、何を問いかけているのかを考える。

(委員の主な発言)

◎赤ん坊の命と戸籍の在り様を論じながら、法律や社会の問題を浮き彫りにした含蓄のある番組。三人のゲストの意見は番組に深みを与えたし、解説も分かりやすかった。菊田医師が孤立していってしまう過程が分からなかったので、当時菊田医師と反対の立場にあった他の医師の意見も入っていればと感じた。

◆(局側)
 取材過程の中で当時をよく知る産婦人科の先生方とも交渉を持ったが、カメラの前で話してもいいという方はいなかったので、残念ながらその辺りの映像化は出来なかった。

◎東北放送はテーマのしっかりした重いものにものすごい力を発揮するところだなと思った。私もテレビって恐ろしいなと思ったのは、人から「菊田先生はとても穏やかな人」って聞いていたが、あの中ではどうしても激しさが出ていたので孤立していくのは当然のような感じに見受けられたこと。

◎命の大切さを訴えて時宜を得たテーマ。古いフィルムなどもよくまとめた力作だが、90分は長い感じがした。菊田先生の立場にばかりたって映像を作ったということは、かえって客観性を失わすとか世間に誤解を与えるとかいうような心配はないのかなとちょっと感じた。

◎「パパラビ」は以前に比べて大変改善され、内容が充実し真面目な番組になった。今、命の大切さを再考する理由というものをもう少し詳しく説明した方が、番組の後半をもっと盛り上げたのではないか。

◎「パパラビ」は気軽に見られる番組と理解していた。長時間の重たい内容をずっともってきた理由は?
 特別番組のような一つの独立した番組として放送した方がもっと迫力があったと思う。一つの番組としては素晴らしいと思う。

◆(局側)
 4月から日曜日に移行して90分に枠大になり、また上に「サンデーモーニング」というネット番組があるので、それとの流れを意識して全国的な、やや重いテーマにも取り組んでいくという狙いでいる。

◎部分部分に不満を感じる箇所も少なくないが、全体として法律を一つ作らせるまでになった一人の人間の生きざまが非常に迫力をもって感じられた。特に彼を支えたクリスチャンの奥さん、精神的な支えだけじゃなく闘いのパートナーであったということが今分かったが、その人間性、一種の夫婦愛がよく描かれていた。

◎非常にたっぷりとした時間を使いながら説明が足りないなと思うような所が何ケ所か見受けられた。赤ちゃんあっせん事件というのは全く知らないという人が多いということを前提に考える必要があったのではないか。

◎制作者は命の大切さ、家族の大切さというテーマで作ったのだろうが、若い人が見て”命が大切だ”と思ったかどうか疑問に思う。全体としてなんとなく重いなという感じ、一つ一つがまだ解決されないで通り過ぎていくという感じで見た。

◎アーカイブスを巧みに使って、巧みに組み立てていると思った。
   この中で扱われている家族の問題、性の問題、生命の問題は現在ではちょっとズレがあると思う。その考え方とか主張の時代背景が分からないので、若い人達を見ててズレがあると感じた。重いテーマを突きつけているわけだから、その辺のズレを埋めないと考える糸口にならないという感じがした。

◎企画書に”パパラビでブランチ”と書いてあったので、このあと皆さんどういう風にブランチをおとりになったかなというのが第一印象。軽やかさという初期の目的からするとちょっと重すぎたのではと思うが、全体としては非常に熱心で丁寧な取材で良かったなと思っている。

◎昭和48年の菊田医師の事件がどいういう事件なのか当時分かりにくかったが、今回この番組の章立てをした番組の作り方で大変良く理解できた。

◎石巻出身なので、個人的に身近な事実として見た。当時の石巻新聞に”子ども、もらってください”と時々載っていた。
 菊田先生がなさったことがどういう事なのかという事実を知らせる、こういう時代こういうことがあったということだけでも十分にこの番組を作った価値があると思う。

◎タイトルと内容の間にギャップ、ズレがある。内容は菊田医師の裁判闘争中心という印象が強い。「・・・その後」、「・・・遺したもの」という言葉が使われているということからするとその辺の配慮がもっと積極的にあってよかったのではなかろうか。

(局側)
 菊田医師が問題提起したことというのは戸籍法の問題だったり、性の問題、教育の問題、養子の問題、家族・命の問題であったりたくさん重いテーマばかりだから、それを番組を見ていただいた方々それぞれに「あれは一体何だったのか」ということを問い返していただくと、それぞれが”遺したもの”というものが浮かび上がって来るのではないかというような思いがあってそういうタイトルになった。

◇次回開催日:9月8日